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山田 文昭; 今泉 悠也; 西村 正弘; 深野 義隆; 有川 晃弘*
Proceedings of 25th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-25) (CD-ROM), 10 Pages, 2017/07
ループタイプ・ナトリウム冷却高速原型炉の設計基準事故(DBA)を超える除熱機能喪失の一つとして、2箇所の1次冷却材漏えいによる原子炉容器液位確保機能喪失(LORL)のシビアアクシデント(SA)評価手法を開発した。2ヶ所の1次冷却材漏えいは、DBAの出力運転中の1ヶ所の1次冷却材漏えいに伴う原子炉停止後の低温停止中に、別ループの1次冷却系配管において2ヶ所目の漏えいが発生し、過度に原子炉容器(RV)液位が低下し、LORLに至る可能性がある。本論文では、想定される漏えい部位の組合せから、厳しいRV液位となる代表事故シーケンスの選定、RVへの冷却材ナトリウムの汲み上げ、1次主冷却系のサイフォンブレークによるRV内冷却材ナトリウムの汲み出し停止の液位確保策、RV液位を過度計算するプログラム、液位計算プログラムを用いた代表事故シーケンスのRV液位挙動を示した。評価の結果、DBAを超える2ヶ所の1次冷却材漏えいに対して、2ヶ所目漏えいに対する液位確保策により崩壊熱除去運転に必要なRV液位が確保され、除熱機能喪失を防止できることを明らかにした。
中島 邦久
Mass Spectrometry (Internet), 5(2), p.S0055_1 - S0055_6, 2016/12
平衡蒸気圧データは、蒸気種だけでなく凝縮相の熱力学的性質を調べる際にも利用されているが、蒸気圧データについては、2桁あるいはそれ以上の違いがあることは珍しいことではない。本報告では、蒸気圧測定における信頼性向上のために、第二法則,第三法則処理と呼ばれる手法を用いた新しいデータ解析の手法を提案している。この手法をセシウムメタボレート, CsBOや銀の蒸気圧測定データに対して適用した結果、信頼性の高い蒸気圧データの選定につながることが分かった。この新しい熱力学的手法では、測定データの取り扱いにおいて、特別なテクニックや経験を必要とせず、測定手法に関係なく汎用性もあることから蒸気圧測定における信頼性向上のための手法として役に立つと考えられる。
内海 隆行*; 木村 英雄
JSME International Journal, Series B, 47(4), p.761 - 767, 2004/11
CIP-BS法を用いて3種類(方物型,楕円型,双曲型)の偏微分方程式を解き、解の精度と安定性について考察した。2次までの微係数を考慮するCIP-BS2法は1次までの微係数を考慮するCIP-BS1法よりも高い精度で解を得ることができ、放物型と双曲型の方程式に対してCIP-BS法は原理的に保存性を有することを示した。CIP-BS法は空間微分が不連続になる特異点を計算体系に有する問題を解くことが可能であることを示し、偏微分方程式の普遍的な解法であることを示した。
飛田 正浩*; 松井 義典
JAERI-Tech 2003-042, 132 Pages, 2003/03
炉内照射試験における照射温度の予測は、照射キャプセル設計において重要な項目の一つである。近年の照射試験では、種々の試験条件の要求に対応するため、複雑な構造のキャプセルが多く、照射温度の精度良い評価には、3次元計算を必要とするケースが増えている。しかし、3次元温度計算では一般に入力の作成等に複雑な作業を必要とし、多くのパラメータ計算を行う設計作業では大変な時間と労力を要する。このため、3次元有限要素法コードNISA1)(Numerically Integrated elements for System Analysis)の導入とともに、キャプセル設計者の入力作成作業を支援するサブプログラムを開発した。この結果、3次元温度計算がより容易に実施可能になるとともに、発熱率の自己遮へいによる構造物内部での減衰等の効果,炉内照射に特有の効果も取り扱えるようになった。
柴田 恵一
JAERI-Data/Code 2002-026, 516 Pages, 2003/01
JENDL-3.3の第3改訂版(JENDL-3.3)が2002年に公開された。このライブラリーには337核種の評価済中性子核データが収納されている。本報告書には、JENDL-3.3のMF1部分に与えられている評価方法に関する記述が掲載されている。
中島 健; 山本 俊弘; 三好 慶典
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(11), p.1162 - 1168, 2002/11
被引用回数:8 パーセンタイル:47.85(Nuclear Science & Technology)核分裂性溶液の核暴走時の平均出力変化を評価するための改良準定常法を開発した。改良前の手法では、反応度の計算に1群理論に基づく臨界方程式を使用している。しかし、1群近似では計算精度が悪く、また、臨界方程式で使用される形状バックリングは複雑な体系に適用できない。そこで、筆者らは、この手法を改良し反応度フィードバック係数を使用する手法とした。改良した手法は、フィードバック係数を算出するために別の計算を行う必要があるが、この手法は複雑な体系に適用可能であり、また、1群近似よりも精度の良い結果が得られる。さらに、沸騰出力を計算する新たな手法を、超臨界実験装置SILENEの実験データを用いて開発した。新たな手法を検証するために、CRAC及びTRACYを用いた超臨界実験の解析を実施した。結果は実験と良い一致を示した。
石原 正博; 馬場 信一; 高橋 常夫*; 相原 純; 柴田 大受; 星屋 泰二
JAERI-Tech 2002-054, 169 Pages, 2002/07
HTTRを用いた高温工学に関する先端的基礎研究としての照射試験は平成15年度に開始される予定である。試験では、照射温度が400から600,高速中性子照射量(E0.18MeV)が110から310mを目標としている。照射予定の試験片は、高温半導体SiC試験片,超電導体Bi-2212試験片,耐熱セラミックス系の黒鉛試験片,SiC試験片及びジルコニア試験片である。そこで、熱伝導率の高い黒鉛試験片と熱伝導率の低いジルコニア試験片を評価対象として、キャプセル内に装荷された試験片の温度を解析的に検討した。検討の結果、本キャプセルにより黒鉛試験片では約450~590の温度域で照射試験が可能で、かつ試料装荷領域内でほぼ均一の温度条件が達成されること、ジルコニア試験片では450~600の温度域で照射試験が可能で、試料装荷領域内の温度差は最大30程度見積もられること、炉心上部可動反射体領域の照射ではジルコニア試験片も試料装荷領域内の温度差が1以下と小さくなり、ほぼ均一の照射温度が達成できること等が明らかとなった。
飛田 正浩*; 松井 義典
KAERI/GP-195/2002, p.87 - 95, 2002/00
材料試験炉部では、JMTRでの照射試験における試料温度の制御と評価の制度を向上させるため、キャプセルの設計に際し、照射試料及びキャプセル構造材内部の詳細な温度分布評価を3次元有限要素法コードNISA(Numerically Integrated elements for System Analysis)を用いて実施している。同コードを照射キャプセル設計に応用するにあたり、キャプセル構造及び解析条件等のデータ入力が容易になるよう種々の支援サブプログラムを開発した。これらのサブプログラムにより、キャプセルの設計時に従来の一次元温度評価では不可能だった試料ごとの詳しい温度評価が可能になっただけでなく、照射時の熱電対指示値に基づいてキャプセル内部の3次元的温度分布の評価もできるようになり、照射研究におけるデータの信頼性向上に役立っている。
徳田 伸二
プラズマ・核融合学会誌, 77(3), p.276 - 283, 2001/03
トロイダルプラズマ閉じ込めシステムの抵抗性磁気流体力学安定性に関する漸近接続理論で現れる内部層方程式を数値的に解く新しい解法スキームも提案する。このスキームは内部層方程式を初期値問題として解く。時間に関して完全陰差分近似を適用して、径方向に関する微分だけを含む方程式を導く。このようにして導かれた微分方程式の解は、無限遠点における、与えられた漸近条件を満たさなければならない。この接続問題は、有限差分法の適用できる境界値問題に変換される。本スキームにより、プラズマの全領域で運動方程式を解くことなく、磁気島の発展等、内部層のダイナミックスのシミュレーションが可能となる。
浅野 芳裕
JAERI-Research 99-045, 105 Pages, 1999/08
加速器施設周辺や原子力施設周辺における作業環境のような微弱放射線場での中性子挙動を調べるために、種々の微弱中性子線量標準場について議論した。ここでは、(1)微弱線量中性子測定の基礎となる標準熱中性子場、(2)数MeVの中性子が種々の遮蔽材(鉄、パラフィン、コンクリート)によって減速された中性子場、(3)数百MeVまでの中性子を含む加速器施設周辺の環境中性子場、の3標準中性子場について、整備した測定器も含めて議論した。特に減速場は3種類の中性子線量(Effective dose equivalent, ambient dose equivalent, effective dose)について、まったく異なった2種類の方法(アンフォールディング法、ED2M法)で場の線量を導出し、各線量間及び2種類の方法によって得られた線量値に近い一致を得た。整備された技術を用いて、大型放射光施設SPring-8サイトでの宇宙線による環境中性子線スペクトルを測定するとともに東海研究所研究棟の建屋床面におけるスペクトルと比較した。
中島 健; 小川 和彦; 會澤 栄寿
Proceedings of 6th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC '99), 3, p.1286 - 1292, 1999/00
核分裂性溶液の臨界事故時の収束機構を調べるために、TRACY超臨界実験時の反応度フィードバック変化を評価した。添加反応度0.3~2.9$の実験における出力変化の測定値から、逆解析法を用いて、全フィードバック反応度を計算した。温度フィードバック効果は、エネルギーの測定値と経験的に定めた反応度温度係数を用いて評価した。これにより、放射線分解ガスボイドの反応度効果は、全反応度と温度フィードバック反応度の差として求まる。第1出力パルスにおける反応度フィードバックの内訳を調べた結果、添加反応度1.5$以下の実験では、出力ピークにおけるボイド反応度効果は無視できる程小さいことがわかった。一方、パルス終了時では、添加反応度0.5$以上の実験において、ボイド効果が主となっている。
柴田 恵一; 成田 孟
JAERI-Data/Code 98-006, 959 Pages, 1998/02
JENDL-3の第2改訂版(JENDL-3.2)が、1994年に公開された。このライブラリーには核分裂炉、核融合炉の設計及び遮蔽計算に必要な340核種の評価済中性子核データが収納されている。本報告書には、核データの評価者及び利用者にとって有益な情報であるJENDL-3.2のFile-1に与えられている評価方法に関する記述を掲載した。
武宮 博*; 樋口 健二; 川崎 琢治*
Modeling and Simulation Based Engineering, p.497 - 502, 1998/00
粒子輸送モンテカルロコードの並列実行における動的負荷分散手法について述べる。本手法は、負荷分散実現時における通信コスト、ロードインバランスの和を最適化する点に特徴がある。本手法を粒子輸送モンテカルロコードMCNP46上に実装し、Intel Paragon上で性能評価を行った。その結果について述べる。また、他の動的負荷分散手法との性能比較結果についても述べる。
深堀 智生; 向山 武彦; 大山 幸夫; 千葉 敏; 高田 弘; 前川 洋; 柴田 徳思*; 中村 尚司*; 馬場 護*; 石橋 健二*; et al.
日本原子力学会誌, 40(1), p.3 - 28, 1998/00
被引用回数:1 パーセンタイル:11.76(Nuclear Science & Technology)基礎研究、放射線廃棄物の消滅処理、核融合炉材研究、医学研究などを目的とした次世代放射線利用施設の建設が計画されているが、この施設そのものの建設及び上記研究を遂行するために高エネルギー核データが必要となる。本特集記事では、次世代放射線利用施設計画の概要及び高エネルギー核データの現状と整備について紹介する。
武宮 博*; 太田 浩史*; 本間 一朗*
JAERI-Data/Code 96-010, 52 Pages, 1996/03
分散メモリ型スカラ並列計算機Intel Paragon上での電磁カスケードシミュレーション用モンテカルロコードEGS4の並列化作業について述べる。EGS4コードは計算途中で動的に粒子が生成されるため、各粒子あたりの計算時間が大きく異なるという特徴を持つ。このような特徴を持つコードの高速並列実行を実現するために、並列実行単位、並列プログラミングモデル、及び並列乱数発生アルゴリズムを検討し、静的粒子割り付け手法、動的粒子割り付け手法の2手法を用いて4プログラムの並列化を試みた。その結果、3プログラムで128プロセッサ利用時に100倍程度の高速実行効率が得られた。また、本並列化作業の経験を通して、並列化作業のワークフローを分析し、並列化ツールに関する考察を行った。
遮蔽安全性実証解析専門部会
JAERI-Review 96-002, 30 Pages, 1996/01
本報は「核燃料施設遮蔽安全ガイド資料 Q&A編」として、遮蔽安全設計やその評価に携わろうとする人々が共通して持つ疑問(Q)に対し、解答(A)を示したものである。Q&Aとしては、約40項目あり、これらは、(1)遮蔽の概要、(2)遮蔽設計の方法、(3)遮蔽材、(4)バルク遮蔽、(5)ストリーミング、(6)スカイシャイン、および(7)遮蔽性能の確認、の7分野に分けて記載されている。本報の作成に当たっては、日本原子力研究所の核燃料施設安全性研究委員会の下に編成された「遮蔽安全性実証解析専門部会」のメンバーが原稿の執筆を担当し、さらに同専門部会で検討を加えた。ここで、本報には、日本原子力研究所が、科学技術庁から受託した「平成5年度遮蔽安全性実証解析」の成果の一部を含んでいる。
横川 三津夫; 蕪木 英雄
情報処理学会研究報告, 93(33), p.37 - 44, 1993/04
近年スーパーコンピュータの発展とともに、ナビエ・ストークス方程式の直接数値シミュレーション(DNS)が行われている。しかし、高レイノルズ数の乱流現象シミュレーションには多大な計算時間とメモリが必要となるため流れ場の初期条件として対称性などを考慮した数値シミュレーションが行われている。本報告では、初期条件として対称性を仮定しない等方乱流数値シミュレーションを行うために作成したスペクトル法によるプログラムを、スーパーコンピュータVP2600/10上で性能評価した結果について述べる。コードの計算時間の大部分を占める3次元高速フーリエ交換では、項数が小さい所で、ベクトル計算時間がNlogNに比例することが分かった。また、項数128の乱流シミュレーションコードをベクトル計算した時に、約12.2倍の対スカラ速度向上比が得られた。
新谷 文将; 寺下 尚孝*; 清水 智也*; 浅井 清; 秋元 正幸
Proc. of the Joint Int. Conf. on Mathematical Methods and Supercomputing in Nuclear Applications,Vol. 1, p.466 - 476, 1993/00
原子炉の設計作業をコンピュータのハードウェア及びソフトウェアで支援する知的設計支援システムの開発を最終目標に、キーテクノロジーであるモジュール統合化手法の確立のための検討を行っている。原子炉の設計においても他の分野と同様に試行錯誤的・人海戦術的方法がとられている。しかしここでは他の分野に比べて、多くの大型計算コードが使われ、解析作業の設計全体に占める割合が大きいのが特徴である。このため、計算コードを統合化する手法の確立が設計を支援するキーテクノロジーになる。本報では、設計タスクの分析結果を基に、計算コード、入力データ、結合情報を記述した情報モジュールをモジュールの単位とし、結合のためのソフトウェアを介して、モジュール間の結合関係を自動的に判断して実効するシステムを、原研で概念設計中の新型炉SPWRの負荷追従解析を例題として試作し、検討した結果について述べる。
新谷 文将; 寺下 尚孝*; 清水 智也*; 秋元 正幸
動力・エネルギー技術の最前線 : シンポジウム講演論文集 1992, p.225 - 230, 1992/00
原子炉の設計作業をコンピュータのハードウェア及びソフトウェアで支援する知的設計支援システムの開発を最終目標に、このキーテクノロジーであるモジュール統合化手法の確立のためにこれまでに行った検討結果について報告する。原子炉の設計においても他の分野の設計と同様、試行錯誤的・人海戦術的方法がとられている。しかしここでは他の分野の作業に比べて、より多くの大型計算コードが使われ解析の設計全体に占める割合が大きいのが特徴である。このため計算コードを統合化する手法の確立が設計を支援するキーテクノロジーになる。また、設計支援システムは設計者の思考を円滑にするように支援することが要求されることから設計者の思考過程を反映したシステムを構築することが要求される。以上のような観点から本報では設計タスクの分析とモデル化、これを基にしたモジュール統合化方式の試作による検討結果について述べる。
西村 秀夫
第12回核物質管理学会年次大会論文集, p.72 - 79, 1991/06
有効で効率的な保障措置を実施するためにはその前提となる保障措置有効性評価のための方法論が確立されていなければならない。このためIAEAでは1979年から保障措置有効性評価法の開発を始めた。最初に開発された方法論が転用径路分析と転用検知確率評価を行うSEAMである。これはしかし、理論的根拠等に問題があり採用されるところとはならなかった。FAに基づき査察実施を評価すべきだとして西独が提案し開発したのがSPESYである。これはその後SIR基準を評価の基礎とすることでIAEAにとっては有用なものとなった。また、転用経路分析の完全性を保証し得るものとして開発されたのがPASEで、アイテム施設に適用して成果が得られている。日本からの寄与は、施設主要工程のモデルの開発、誤警報解析を主要な要素の一つとする方法論の開発等である。これらの開発について紹介するとともに、今後の研究開発の方向について考察する。